物の個数の話
数学の話。
昨日、数を数えることのエントリを書いていたら、ふと解析学の一発目の授業で聞いて目から鱗が落ちた話を思い出したのでエントリにしてみる。
いかに写像とかの言葉を使わずに説明できるかチャレンジ!
2つの集合の要素を対応させる
いきなりこんなことを書くと突き放してる感じしかしないんだけど、内容は人類がとても当たり前にやってること。
例えば、くじと景品。
引いたくじには景品が紐付いているかもしれないし、紐付いてないかもしれない。
つまりこれはくじの箱の中の紙と、景品が対応されていると言える。
例えば、アルファベットと自然数。
A,B,C,… に 1,2,3,… と対応させればアルファベットの順番を決めることができるし、アルファベットの数を数えることができる。
ここでさらに、その対応が「もれなく、かつ、被らず」成り立っているものを考えてみる。
例えば、出席簿と全員出席したときの実際の生徒。
出席簿に書かれている名前の一つ一つと、目の前の生徒一人一人は漏れなく対応するし、被らずに対応する。
例えば、一番くじ。※ラストワン賞は除く
あれはハズレのないくじ。つまり必ず何かしらの景品がもらえるくじだし、景品は売り物ではないのでピッタリ用意される。たぶん。
ここでも、くじと景品は漏れなくかつ被らずに対応する。
これを一対一対応と言う。
同担拒否。
個数が同じ
一対一対応の成り立つ2つの物に対して成り立つ性質がある。
それは「個数が一致すること」である。
例えば、出席簿に書かれている名前の数と生徒数は一致する。
景品の総数とくじの総数は一致する。
当たり前っちゃ当たり前である。
そう、当たり前である。
結びつける線
ここで少し抽象化。
集合同士の対応、直感的に考えるために、よく線で結ばれた図で書かれる。
例えばこんな感じ。
一対一対応が成り立つものならこんな感じ。
で、この一対一対応の図を少しいじる。
具体期には、それぞれの要素を一列に並べて、うまい感じに並べ替える。
こんな感じ。
すると、それぞれを結びつける線は交差することなく、かつ、各要素を漏れなく結びつけている。
一対一対応とは「漏れなく、被らず」なので当たり前っちゃ当たり前である。
で、これ、逆に言うと「2つの集合の間に交差せず、漏れなく紐付ける線が引けるなら一対一対応が成立する」のである。*1
もっと言うと、そんな線が引けるのであればどちらも同じ数だけ存在すると言える。
幼稚園の教科書にも出てきそうなくらい、直感的に当たり前のことである。
三角形ABC
ここで話を切り替え、こんな三角形を考える。
更に、辺ACに平行な線DEを引いてみる。
こんな感じ。
当たり前じゃないことが起こる
この三角形に何が起きているか。
直感的に当たり前じゃないことが起きている。
一つずつ説明していく。
平行な線ってなんだっけ
2つの線が平行であるとは、無限に伸ばしても交わらないこと。
平行な線はいくらでも引ける
線は太さがないので、どんなに近いところに引いても交わることはない。
以上の2つから、点Aと点Cを繋ぐ線分ACに平行な線はいくらでも、それこそ線分ABや線分BCを網羅できるぐらい、漏れなく引くことができる。
つまり、線分ABと線分BCの間に一対一対応が成り立っている。
線ってなんだっけ
最後のピース、線ってなんだっけって話。
高校までの数学なんかでは「点の集まり」とか教えられる。
ここまで合わせると
ここまでのことをことを合わせて考えると、点の集合である線分ABとBCにおいて、一対一対応が成立するといえる。
一対一対応には大事な性質がある。一対一対応の成り立つ集合はその要素の個数が同じであるということ。
つまり、点の集合ABとBCは点の数が同じである。
ここでもう一度三角形を見ている。
明らかに、線分ABとBCは長さが違う。
でも、上にも書いたように点の個数は同じである。
そういった、直感的に正しくないことが発生している。
ナニコレ
ここまでの話、厳密ではないけれども間違えたことも言っていない。
そして話の展開も矛盾なく、飛躍せず……だと思う。
つまり、「線の長さが違うのに点の個数は同じ」というのは、直感的には正しくなくても、理屈として正しいことである。
じゃあこれはいったいなんなのかというと、これこそが無限とか、非可算(数えられない)とか、連続とか、そういったものである。
なんかよくわからない?ようこそこちらの世界へ!(ここで力尽きた)
*1:ほんとにそうなの?なんで?と思ったら素養があるのでこんな記事読み飛ばして数学の勉強しましょう!